2013/12/27(金)周公旦

「周公旦」酒見賢一(文春文庫2003年)

 古代中国の周王朝。周といえば太公望呂尚が有名だけれども、この小説は周の勃興を手助けしたうちの一人でである周公旦(しゅうこうたん)を扱っている。

 周公旦の兄である武王が死去し、その武王の後継者である成王はまだ幼児。周公旦が摂政となってなんやかやをすることになるんだけども、太公望のたくらみによって抹殺されそうになる。勃発した反乱を鎮圧することに成功した周公旦だったけれども、身のの危険を感じたのか、周公旦は、周にそこそこ敵対心を抱いている南蛮で未開の地である楚になぜか逃げ込むという手段をとる。

 楚ではいろんな部族がいて、周と良好な関係のあった熊の名の一族の熊繹(ゆうえき)のもとをたずね、儀式である礼を用いて仕える。周公旦には算段があって、楚の文化をある程度引き上げ、そこそこ平定させたところで、いずれ周が楚を制圧しやすくするという布石の面があったと思われ。

 周公旦はその後、改心した成王の要請によって周に戻って再び補佐を担当。そして太公望の治める斉のめざましい発展ぶりに驚嘆。その後、病で死去。

 本作では、食人(カニバリズム)文化のことを神聖な儀式であったとし、慎重に繰り返し書き綴っている。また、楚がいかに蛮族であるかとして、人の頭骨を魔除けとして掲げたり、男たちが男根をしごいて精液を撒き、女の尻を棒で叩く豊穣の儀式などの描写が秀逸だった。異文化の地で、いかに敵対する部族を懐柔させるかで、周公旦は独自の儀式をおこない、自身にその部族の祖先を降霊させて説得してみせる。

 前回読んだ「墨攻」に引き続き、今回も濃厚な文章描写で、理解するのがかなりしんどかった。それでもカルチャーギャップというか、太公望呂尚の老獪ぶりや、周辺諸国の微妙なバランスなど、内政面でうなずくことしきり。
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