2013/12/09(月)心がフッと軽くなる「瞬間の心理学」

 くよくよしないこと、ストレスをなくす仕事の仕方や人付き合いの方法など、いろんな悩みに対しての対処法を紹介。布団の中で眠れずにネガティブなことを考えるぐらいだったら起きたほうがいい。嫌な相手を上空から双眼鏡で見るという想像をしてみる。嫌なことも幸運もやがて過ぎ去るという思考法。

 無目的で独立した人で成功した人が何人かいたとかで、人脈があるかどうかが決め手かもしれないとか。

 一週間単位よりも一日単位での達成にしたほうがよいのではないのかとも。著者が語っているのは認知療法だったりセルフマネジメント自己管理能力、いかに自分を操縦するというコントロール能力を鍛えていくか。それにはちょっとしたことを我慢する忍ぶということを毎日少しずつ実行して鍛えていくなど。仕事を辞めるということを決して進めてはおらず、とにかくやれるだけのことをやってみてと訴えている。ストレスに関する本としては入門書という感じ。

2013/12/08(日)宇宙犬ハッチー

「宇宙犬ハッチー 銀河から来た友だち」かわせひろし 絵・杉田比呂美(岩崎書店2013年)

 なにかの流れでマンガ家さんのツイッターを見たらジュニア冒険小説大賞というのを受賞されたとかで、よく転身できたなと唸って手にとった。

 銀河系を逃走中のリド・ビーダ人を追跡してきたコイケルホンド人のブラニン捜査官と助手の「ヴェニヴルホラハレン・ソーマルニンフラン八・一世と6/5」だったけど、機雷によって乗っていた宇宙船が損傷し、地球に不時着。ブラニン捜査官は負傷して治療中。助手の通称ハッチーが見知らぬ惑星(地球)を探索し、小学生の友樹と出会う。

 テクニカルタームというかSF作品に慣れてないと読むのがしんどいかなと思いつつも、それは最初だけで、あとは友樹の知識レベルに合わせたものになって、犯人のリド・ビーダ人を捜索してブラジルまで2時間で行くとかそこそこSFしてる。

 犯人が何者なのかとか遭遇したらどうするのかと思ったらノープランだよ。

 作中で登場する科学レベルは、現在の地球のテクノロジを流用したものになっていて、鳥の死肉を食べるというカルチャーショックは定番のものだし、神経作用やら日本との時差があるというのもちょっと調べればすぐにわかることで、それほど練りこまれているわけでもなく。

 でも、友樹の両親や妹の優以が喋るハッチーをあっさり受け入れるところが脳天気というかちょっと愉快。

2013/12/08(日)15×24(1)

「15×24 link one せめて明日まで、と彼女は言った」新城カズマ イラスト・箸井地図(SD文庫2009年)

 ああ、これはしんどいな、と思った。心中自殺志願者の男子高校生を巡って、それを阻止せんと10人以上が入れかわり立ちかわりでの、時刻表示つきの群像劇。

 それなりに人物描写がしっかりしているものの、読む側にそれなりの記憶力を要求するし、時間把握も必須となるので、それなりそれなりそれなりの読解力を持って望まないとならない。それが無理ならば、メモ書きして自身の記憶能力のなさを嘆きながら読むという屈辱を味わうがいいといわんばかりの構成。

 しかも6巻で完結とかで、登場人物をそこまで覚えてられるのか不安。

2013/12/07(土)貧乏人大反乱

「貧乏人大反乱―生きにくい世の中と楽しく闘う方法」松本哉(アスペクト2008年)

 以前読んだことのある「貧乏人の逆襲!増補版」と大体同じ内容で、今回はデモなどの活動を中心に構成していある。

 法政大学での貧乏人決起集会やら総長のいる集会にペンキを持って殴りこみにいったりとか、社会に出るようになったら、自転車を勝手に撤去するなというデモ活動をしたり、リサイクル業を営んでいることからPSE法に反対するなど、くだらないことから大真面目なことまでをデモしてみせる。

 警察にいってデモの申請をしていかに許可をもらうかを考えて、3人だけのデモで警察に肩透かしをくらわせるなど、前の著作と同じく行動力があるなと思う反面、タバコのポイ捨て規制や監視カメラに敵意を燃やして撤去しろという考えをもっていながらも、ゴミを平然とすてる行為に関しての言及はまるでないのが気になる。

 どうもこの人は体制からあれこれ勝手に指図されることには異様なまでの反発心を抱くだけにとどまっていて、常に大勢の仲間と一体感を持っていたいという性格がうかがえる。

 著者が経営するリサイクルショップに関しては、経営術といったノウハウなどはまるで考えている様子がなく、店で働く従業員が結婚して子供をもうけたりして、彼らの将来に対して責任を感じて気が重いと正直に語ってもいて、それでいながらも、著者にとっての行政からの理不尽な対応には社会人になっても卒業するのは断じて断るという信念を持っていて、経営者向きではないとつくづく感じた。

 ひとことで言うならば、めんどくさい人。この人と友達づきあいができたら面白おかしい体験はできるだろうけど、このタイプの社長のいる会社は将来を考えるなら避けるべきだとも思うのであった。

2013/12/07(土)隙間女(幅広)

「隙間女(幅広)」丸山英人 イラスト・ミヤスリサ(電撃文庫2010)

 表題作+後日譚を含む短編集。どれも王道というか、どこかで読んだ覚えのある展開ばかりで、人面疽とか呪術的な都市伝説やら幽霊なんかのオカルトチックでいながら、ボーイミーツガールの変形という感じでいながらいながら、恋愛寸止めというなんとももどかしい思いをさせられる。

 表題作の隙間女(幅広)のヒロインの喜怒哀楽が読んでてホッコリするというか和んでいい感じではあるんだけど、他の作品が小粒でひねりがないのがなんとも。厳格な女子とかのキャラ描写はいいとは思いつつも、こちらも既存作品の範疇にとどまっていて印象が薄いのがなんとも残念。

2013/12/06(金)ネクラ少女は黒魔法で恋をする(1)

ネクラ少女は黒魔法で恋をする(1)」熊谷雅人 イラスト・えれっと(MF文庫J2006年)

 内弁慶で内心では毒舌饒舌で妄想する空口真帆の語りが愉快だったのに、悪魔を召喚して可愛くしてもらったら、気になる演劇部の先輩と急接近して交流したり、先輩の想い人と邂逅してのしんみりした展開になったりで、最初の語りはどうしたオイという感じで、ただの恋する乙女になっただけじゃねーかと。最後がデウスエクスマキ的に終わってる。もっとドタバタっぽいものにすれば長続きしただろうに。惜しい。

 妹の夏樹とのやりとりが微笑ましいし、メスゴリラと呼ばれてるけどイラストではかわいい大河内裕とそれなりに仲良くなって雰囲気はいい。豪農っぷりがすごい弓ヶ浜三癒とか、独特のキャラをそこそこ配置しているわりに特徴をいかしきれておらずもったいない。

 召喚した悪魔も名無し状態で、なんとかならなかったのかな。最後が青春物語テイストになった。これはこれでいいのだろうけど、続かないだろうと。

 それと真帆のこれまでの黒魔法遍歴がまるでなく、今さっき思いついたという感が否めない。

2013/12/06(金)APRIL FRONT・四月物語

「APRIL FRONT・四月物語」撮影・篠田昇(角川書店1998年)

 映画「四月物語」をご存知だろうか。別に知らなくてもいい。「リバー・ランズ・スルー・イット」を知らないのと大差はない。

 てっきり映画のノベライズかと思ったら、まさかの写真集だったよ。モノローグもダイアローグもなにもないよ。本当に写真だけだよ。写真を見ながら映画の余韻に浸ってしまったよ。ファンアイテムだよ。

2013/12/05(木)郵便と糸電話でわかるインターネットのしくみ

郵便と糸電話でわかるインターネットのしくみ」岡崎裕史(集英社新書2006年)

 サーバとかルータとかTCP/IPがどんな仕組みで使われているのか、実際の運用はどうなのかが知りたかったので、郵便と糸電話という身近なものでたとえてくれるのなら理解しやすいだろうと思ったら、難しい。

 郵便と糸電話のたとえは全体の5%ほどしか使われておらず、しょっぱなから略称を連発して、読む側が必死になって略語の正式名称を覚えている間もなく、次から次へとすでに読む側は知っていて当然というペースでインターネットのセキュリティやらなにやら講義形式で解説していくんだけど、なんともしんどいです。

2013/12/04(水)火車

「火車」宮部みゆき カバー装画・藤田新策(新潮文庫1992年)

 足に銃弾をうけて休職中でリハビリ中の刑事・本間俊介のもとに、失踪した婚約者を捜索してほしいと栗坂和也がたずねてくる。その婚約者の関根彰子は和也のすすめでクレジットカードを取得しようとしたが、自己破産の過去があったことがわかると、そのまま失踪したという。

 圧巻。警察の捜査力を使えないから地道な調査をするしかなく、手がかりも四苦八苦しながら考えて見つけ出していく。最初の100ページを読んだところで松本清張の「砂の器」や「ゼロの焦点」に似ていると感じていたら、入れ替わりなどを含めて社会派であることやなにやら共通する部分が多かった。

 クレジットに簡単に手を染めてしまい、いつのまにか支払いに困るようになる流れや、作中で残酷なことをした子供の心境に対して家政夫をしている井坂は、相手の言動ではなくやったことを見ろとの発言など、人間への様々な洞察が含まれている。

 このラストに不満を持っている人がいるけれど、これは既存作品でも多々あるもので、自分としては充分に描写されつくしており、いい余韻だと感じた。

 最後に作中で興味深かった部分を引用


「あの娘がクレジット三昧の暮らしをしたのはね、錯覚のなかに浸かっていられたからよ」
「錯覚?」
「ええ、そう」富美恵は両手のひらをパッと広げた。
「お金もない。学歴もない。とりたてて能力もない。顔だって、それだけで食べていけるほどきれいじゃない。頭もいいわけじゃない。三流以下の会社でしこしこ事務してる。そういう人間が、心の中に、テレビや小説や雑誌で見たり聞いたりするようなリッチな暮らしを思い描くわけですよ。昔はね、夢見てるだけで終わってた。さもなきゃ、なんとしても夢をかなえるぞって頑張った。それで実際に出世した人もいたでしょうし、悪い道へ入って手がうしろに回った人もいたでしょうよ。でも、昔は話が簡単だったのよ。方法はどうあれ、自力で夢をかなえるか、現状で諦めるか。でしょ?」

 ~(略)~

「だけど、今は違うじゃない。夢はかなえることができない。さりとて諦めるのは悔しい。だから、夢がかなったような気分になる。そういう気分にひたる。ね? そのための方法が、今はいろいろあるのよ。彰子の場合は、それがたまたま買物とか旅行とか、お金を使う方向へいっただけ。そこへ、見境なく気軽に貸してくれるクレジットやサラ金があっただけって話」
「ほかにはどんな方法があります?」
 富美恵は笑った。「あたしの知ってる方法としちゃ――そうね、友達に、整形狂いの女がいるわ。もう十回近く顔をなおしてるんじゃないかしら。鉄仮面みたいな完璧な美女になりさえすれば、一〇〇パーセント人生ばら色、幸せになれると思い込んでるの。だけど、実際には、整形したって、それだけで彼女が思ってるような『幸せ』なんか訪れないわけですよ。高学歴高収入でルックス抜群の男が現れて、自分を王女さまのように扱ってくれる。なんてね。だから彼女、何度でも整形を繰り返すわけ。これでもか、これでもかってね。同じような理由で、ダイエット狂いをしてる女もいるわね」

 ~(略)~

 富美恵は続けた。「男にだっていますよ。そういう人。むしろ、女よりも多いんじゃないかしら。必死で勉強していい大学に入って、いい会社に入ろうとするのだって、そうでしょ? 勘違いなのよ。ダイエット狂いの女を笑えませんよ。みんな錯覚を起こしてるのね」

2013/12/03(火)マグダラで眠れ(3)

「マグダラで眠れ(3)」支倉凍砂 イラスト・鍋島テツヒロ(電撃文庫2013年)

 錬金術士のウェランドが貴族の娘に結婚を申し込まれて囚われの身となり、腐れ縁のクースラは無視して異教徒の町のカザンに向かおうとするが、どうなる? という3巻。

 このシリーズは錬金術とうたいながらも、拍手して鋼を出すといったファンタジーではなく、鍍金(メッキ)をしたり、鉄の鍛錬の度合いを向上させたり、金を効率よく抽出するという戦闘シーンのないすごく地味です的な内容です。

 主要キャラのクースラにしてもドライな性格をしていて、イラストもどこか退廃的な絵柄で、どこにウケる要素があるのかまったくわからないまま、3巻で打ち切りになるかと思ってたら4巻が発売されて、しかも続刊予定ときいて、どこが面白いのか誰か教えてくれと、大変失礼な感想で申し訳ない。

 地味でありながらも、体の一部分が獣な修道女のフェネシスが、錬金術を覚えようと必死になっていて微笑ましいと思っていたら、旅の知識が豊富で必要なものや行程にまつわるトラブル対策などもしっかりと披露してみせて感嘆する場面も。

 他人に対して情を抱こうとしないクースラの、その心情をはっきり書かず、読んだ人に判断をゆだねるというのがちょっとしんどいというか、物語がクースラとフェネシスの腹の探り合いをしながらの掛け合いに重点をおいたつくりになっていて、日常生活で散々そういうのをやって辟易している自分にとって、この作品は苦手です。同じ作者による「狼と香辛料」も主要キャラ二人による探り合いの掛け合いだったので、こちらも苦手でした。

 クースラがとある錬金術を見せる場面は、変わりもの好きな大公に対してはちょっとお粗末かなと思ったし、フェネシスがとある算段をいつから画策していたのかとか、それじゃあ説明不足だろと言わざるをえないというか疑問符がすごく浮かんできたけど、そこをツッこむのは野暮なのだろうか。

 それと、「っ」と「う」を多用するのを、どうか勘弁してくれまいか。
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